【陸前高田FW2022】現地視察

【陸前高田FW2022】現地視察<YouTube>

地球市民学科の「陸前高田フィールドワーク」では、2022年8月31日から9月5日まで岩手県陸前高田市を訪問しました。同科目は2020年度に開講され、これまで「バーチャル・フィールドワーク」や『陸前高田SDGs物語』の作成などに取り組んできましたが、コロナ禍で現地訪問は叶いませんでした。今回、ようやく現地訪問が実現しました。

Day 1〜テーマ「SDGs」〜

8月31日は東京から一ノ関までは東北新幹線、一ノ関から陸前高田までは貸切バスで移動しました。現地到着後は、中心市街地を歩きました。陸前高田は、2011年の東日本大震災により中心市街地の全てを失ってしまいましたが、5年以上の歳月をかけね土地を約10メートル嵩上げし、2017年春に大型商業施設「アバッセたかた」が完成しました。それから、道路ができ、橋ができ、建物が建つと共に、人の営みが戻ってきています。その後、陸前高田市役所で政策推進室の松木翔氏より「それは、私たちが目指す未来」という講義を受講しました。陸前高田市の現状、東日本大震災の被災の状況、岩手県で初めての「SDGs未来都市」認定、SDGsを通じたまちづくりについて、丁寧にご説明いただきました。

Day 2〜テーマ「チョコレート」〜

9月1日は製油&チョコレート工房「椿のみち」を訪ねました。この「陸前高田フィールドワーク」で年間を通じて連携しているネパリ・パザーロのLISAチョコレートの製造過程の一部を体験しました。“LISA”とは、Low Input Sustainable Agriculture(低投入持続型農業)の略で、農薬や化学肥料、石油エネルギーなどをできるだけ投入せず、自然生態系の力を活かし、収量を維持しながら高い品質を目指す持続可能な農業のことです。インドのカカオと沖縄の黒糖を材料に、手間を惜しまず70時間以上練り上げたFair Trade & bean to bar & made in Japanのチョコレートで、カカオバターも使わず添加物も一切使用していません。丹精こめた製法に込められた「椿のみち」の皆さんの思いに触れることができました。

Day 3〜テーマ「震災」〜

9月2日は一般社団法人マルゴト陸前高田にアレンジいただいた「震災学習プログラム」を体験しました。東日本大震災津波の事実と教訓を国内外へ発信し、後世へ伝承することを目的として整備された東日本大震災津波伝承館を見学した後にパークガイドの案内に従って、東日本大震災で壊滅的な打撃を受けながら新たな植樹が完了した高田松原、その高田松原で奇跡的に一本だけ残り陸前高田の象徴的存在である奇跡の一本松、震災の教訓を伝承する気仙中学校などを巡りました。その後、陸前高田市コミュニティホールに移動し「りくカフェ」のお話を伺いました。「りくカフェ」では、地元の女性を中心とし、地域のコミュニティづくりや健康促進に関わる事業を行なっています。震災の過去・現在・未来に思いを馳せる一日となりました。

Day 4〜テーマ「自然」〜

9月3日は「みちのく潮風トレイル」を歩きました。「みちのく潮風トレイル」とは、東日本大震災からの復興に資するため、日本の東北太平洋沿岸地域を中心に環境省が設定した「歩いて旅を楽しむための道」です。青森県から福島県まで、総距離1,000キロを超える本トレイルは、環境省を中心に関係自治体、民間団体、地域住民などの協働により運営されています。BRT小友駅から広田半島の黒崎仙峡遊歩道を約9km歩きました。陸前高田市観光物産協会の方のガイドのもと、アップダウンの続く海沿いの道を歩きましたが、「海と山は繋がっている」ことを実感しました。

Day 5〜テーマ「食」〜

9月4日は「ワタミオーガニックランド」を訪ねました。「ワタミオーガニックランド」とは、有機・循環型社会をテーマとした体験型の農業テーマパークです。約23haの広大な敷地に、20年がかりで完成を目指しています。当日は岩手県産の肉や野菜のBBQを楽しんだ後に、植樹をしました。オーガニックランド内の津波浸水地区にアオダモなどの苗木を植えました。樹種や土中の微生物などの多様な生物が豊かな森を育んでいくことを学びました。帰路、発酵パークCAMOCYや道の駅高田松原にも立ち寄りました。

Day 6〜「歴史」〜

9月5日は東京への帰路、陸前高田から平泉まで貸切バスで移動し世界遺産である中尊寺に立ち寄りました。陸前高田にある玉山金山の金によって金色堂が作られたとも言われています。「奥の細道」の松尾芭蕉が訪れた場所としても有名です。静寂な境内散策を楽しみました。その後、一ノ関から東京まで東北新幹線で帰りました。

【清泉女子大学・地球市民学科】2022年度「陸前高田フィールドワーク」現地視察