【陸前高田FW2020】オンライン「陸前高田フィールドワーク」実施

 【陸前高田FW2020】オンライン「陸前高田フィールドワーク」実施

2020年度の「陸前高田フィールドワーク」では、当初東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市を訪れフィールドワークを行う予定でしたが、新型コロナウイルスの感染拡大防止のため現地訪問が困難になりました。そこで、交流人口の促進を目標に活動している一般社団法人マルゴト陸前高田と話し合い、「オンラインでしかできない」ことを嘆くのではなく、「オンラインだからできる」ことをとことん追求する「新しい学びのカタチ」プロジェクトを立ち上げ、以下のような活動を行いました

1.オンライン講義
 2020年6月には「陸前高田オンライン講義」を実施しました。
「陸前高田SDGs未来都市」「観光の現状と課題」「防災クロスロードゲーム」「漁業と移住」などをテーマに5回の講義を行いました。

2.バーチャル・フィールドワーク
 2020年8月には「陸前高田バーチャル・フィールドワーク」を2日間実施しました。  
 企画には学生も関わり、マルゴト陸前高田と準備段階から綿密に打ち合わせを行いました。当日はマルゴト陸前高田の全面的な協力のもと、Zoomを通して震災遺構や中心市街地を訪れました。1日目は、東日本大震災津波伝承館、高田松原津波復興祈念公園、防潮堤、奇跡の一本松、陸前高田駅、まちなかテラス、まちの縁側、アバッセたかた、正徳寺、箱根山テラスなどを訪問しました。2日目は、3つのグループに分かれて「SDGs」「農業・漁業」「ビジネス」に関する講師からそれぞれの取り組みの様子を聞き、交流を深めました。その後は全員で集まって振り返りを行い、意見を共有。また夜には、地元のお母さんグループ「アップルガールズ」と「陸前高田の松の木」という踊りを体験したほか、陸前高田に勇気と元気を取り戻すために活動している氷上太鼓の練習風景を見学しました。学生らの自宅には予め陸前高田の名産品を取り寄せており、学生らは踊りや太鼓とともに現地の食べ物も堪能しました。

3.オンライン課題解決プロジェクト
 2020年9月から12月にかけては、内閣府から「SDGs未来都市」に選定された陸前高田が抱える地域の課題解決にグループで取り組みました。情報収集→調査分析→試行錯誤→企画立案を進め、12月に提言を発表しました。
 取り組んだテーマは、「陸前高田市がSDGs未来都市を推進するために東京で支援できることを提言してください。(陸前高田市あて)」「マルゴト陸前高田が事業化できるSDGsに絡めたコンテンツを新たに提言してください。(マルゴト陸前高田あて)」の2つでした。
 学生の理解を深めるため、10月に近畿日本ツーリスト関東から「観光とSDGs」、岩手県東京事務所から「東京で岩手のためにできること」というオンライン講義を受講しました。
 2020年12月21日の発表会では学生から以下のような提言を発表し、好評を博しました。
(1)陸前高田市がSDGs未来都市を推進するために東京で支援できること
 ・陸前高田に関するポスター作り
 ・陸前高田に関するワークショップの開催
 ・東京でのSDGs物産展
 ・レシピ付き食材配送サービス
 ・大学の文化祭への出店
 ・アンテナショップにおける学生考案のSDGsランチ
 ・岩手県出身の漫画家とのコラボ
 ・東京と陸前高田の交換留学など
(2)マルゴト陸前高田が事業化できるSDGsに絡めたコンテンツ
 ・ふるさと納税の返礼品生産者との交流
 ・モノづくり体験ができるご当地アンテナ広場
 ・オンライン交流会
 ・スタンプラリーを用いたGoTo陸前高田キャンペーン
 ・物産展Xフードフェス
 ・SDGs×謎解きイベント

 指導した安斎徹教授は「コロナ禍で先行きが見通せない中であったにもかかわらず3つのプロジェクトをやり遂げることができたのは、関係者の協力と学生の努力の賜物である。オンラインによるフィールドワークの新境地を切り拓くことができたと自負している」と述べています。

学生からは「オンラインだからできないと諦めるのではなく、オンラインでできることを考え、実施してみたこの陸前高田フィールドワークで過ごした一年間は本当に充実していたと言い切ることができる」「大学にも行けず人と交流する機会が激減したこの一年で、授業の中で人の温かみを感じることができたのは私にとってとても印象に残る経験となった」「講義を一年間受けたことにより、陸前高田市の理解が深まり、東日本大震災にかかわることも昔よりもはるかに鮮明にイメージできるようになった」「今までテレビで見たものに過ぎず、対岸の火事のように感じられた事象が他人事ではないと心から感じられるようになった」「オンラインでの講義は講義の質が落ちてしまうのでは、というような懸念が多くの人々の間で飛び交っていたが、このフィールドワークについてはそんなことは一切なく、年間を通して安定し、かつ様々な人に支えられながら報告書作成や企画進行が円滑に進められた」という感想が寄せられました。

奇跡の一本松