【陸前高田FW2021】『陸前高田SDGs物語』を作成し全国に発信

【陸前高田FW2021】『陸前高田SDGs物語』を作成し全国に発信

2021年度の「陸前高田フィールドワーク」では、《震災10年+SDGs=未来》を企図した冊子『陸前高田SDGs物語』を作成し全国に発信しました。

2021年度の「陸前高田フィールドワーク」受講生と安斎ゼミは、「震災 10 年」の風化を阻止し、コロナ禍で修学旅行客が激減している現状を打破するために東京の大学生に何ができるかを考え、マルゴト陸前高田や株式会社TAPCOMなどと協力しながら『陸前高田SDGs物語』という冊子作りに取り組みました。「震災10年」以降の未来価値を創出する必要性がある中、陸前高田市が「SDGs 未来都市」である点に着目し、SDGs の観点から陸前高田の魅力を発掘・発信することが、ブランド力の向上、交流人口の拡大や観光客の誘致につながることを目指しました。

1.事前学習

2021年度の前期には事前学習に取り組みました。公益社団法人日本消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会環境委員長の村上千里氏から「SDGsの視点を持つ」、株式会社ベネッセコーポレーション人財開発部の荒川悦子氏(元たまひよ事業部『ビズマム』編集長)から「インタビューと編集の基本」、マルゴト陸前高田の代表理事である伊藤雅人様から「01~ゼロイチ~ -東日本大震災を経て-」、陸前高田市政策推進室の菅野大樹氏より「それは、わたしたちが目指す未来」を受講しました。併せてインタビュー練習やマニュアル作りに注力しました。

2.インタビューの実施
コロナ禍で現地への訪問は叶いませんでしたが、2021年8月26日から9月3日にかけて、SDGsの各目標に関わりの深い17の個人や団体へのインタビューをマルゴト陸前高田の全面的協力を得ながらオンラインで行いました。インタビューを通じて、陸前高田の人々の生き方や団体の活動そのものがサスティナブルであるという予想が、確信に変わりました

3.オンライン交流会の実施
2021年9月12日には、オンライン交流会を開催しました。まず震災語り部の武蔵裕子氏から、生き抜くことに必死だった東日本大震災直後の状況、美談だけでない葛藤や対応の難しさ、防災意識の大切さなどのお話を伺いました。次に地球市民学科の卒業生でもある山崎風雅氏より、学生時代のボランティア活動、陸前高田で考えさせられた生きることの意味、移住の経緯や漁業の現状などについてお話を伺いました。

4.冊子の作成
2021年度の後期には、夏休みに実施したインタビューを踏まえて、冊子『陸前高田SDGs物語』の作成に取り組みました。編集は、文字起こしから始まり、第1稿→第2稿→校閲→第3稿→現地チェック→第4稿→現地チェック→最終稿と想像以上に苦難の連続でした。印刷会社からは編集ソフトでの入稿を推奨されたのですが学生のスキルや費用面で難しく、慣れているパワーポイントで作成し、PDFで入稿することで決着しました。レイアウトの決定、ミリ単位でのフォーマットの作成、校閲、表紙デザインの作成、封筒デザインの作成などすべて学生が行いました。印刷会社であるTAPCOMの適切なアドバイスと入念なチェックを経て、2022年1月25日に『陸前高田SDGs物語』が完成しました。

『陸前高田SDGs物語』

5.本学初のクラウドファンディングの実施
冊子を増刷・送付する資金を調達するために、教育関連では本学初となるクラウドファンディンを実施しました。クラウドファンディング(crowdfunding)とは、群衆(crowd)と資金調達(funding)を組み合わせた造語で、インターネットを通して自分の活動や夢を発信することで、想いに共感した人や活動を応援したいと考える人から資金を募る仕組みです。「陸前高田の未来への想いを、震災10年から未来への架け橋となる冊子『陸前高田SDGs物語』を通じて届けたい」という願いを込めたクラウドファンディングを2021年12月に実施した結果、目標金額10万円を上回る14万円を集めることができました

清泉女子大学で初めてのクラウドファンディングを実施

6.全国に発信
クラウドファンディングの支援金などを活用して、『陸前高田SDGs物語』を全国のメディアや旅行会社、クラウドファンディングの支援者などに送付しました。『陸前高田SDGs物語』を手にした人が、「SDGs未来都市」である陸前高田を認知し、知りたい、訪問したいと思ってくれることを願っています。

なお、本プロジェクトの推進にあたっては、岩手県東京事務所、陸前高田市、陸前高田市観光物産協会からもアドバイスや情報提供、冊子の配架などのご協力をいただきました。

<本プロジェクトに取り組んだ学生からのコメント>
  • 授業を通して大きく成長することができた。達成感でいっぱいである
  • 大学生活の中で、忘れない大切な時間になった。
  • この1年間で多くを学んで考えて、それだけではなく楽しみながら授業を行えて本当に成長できた一年だった。この授業を履修しなかったらこんなにも素敵な仲間や、陸前高田の魅力に気づかなかった。
  • 陸前高田についての話を聞き、震災、SDGs未来都市などについて深く学べた
  • 一つの目標に向かってがむしゃらに走り続けたことは、自分の中で価値のある思い出になった
  • 東日本大震災と向き合うことができた。特に震災後に少しずつ前を向いて進んでいく人達の姿に胸を打たれた。
  • 陸前高田フィールドワークは想像以上に充実していた。冊子を手にしたときはとても嬉しかった。これまで関わってくださった全ての人に感謝している。
  • 受講する前と後で劇的な成長と変化があった。この授業で得られたのは冊子や封筒だけでなく、かけがえない達成感や大切な思い出、そして人との繋がりの大切さだった。また同じ授業を受講したい。
  • 震災について学んで、災害によって大切な人が亡くなることが現実に起こっていたという残酷さと、それでも人は夢を持って粘り強く生きていくという生きる底力を学んだ。
  • 被害に遭った地域や人々のことを震災後の10年間の中で一番考えさせられた。災害があって明日自分がどうなるのか分からないのに知らない人を助けるために動いた人、様々な覚悟を持って活動した人、家族を亡くしてしまっても前を向いて歩んでいる人がいることを知り、人間の温かさや強さを知ることができた
「陸前高田フィールドワーク」受講生と安斎ゼミ生